自閉症の赤ちゃんの特徴とは?年齢ごとの特徴と診断方法を解説

赤ちゃん・幼児
自閉症の赤ちゃんには行動や運動に特徴があります。 この記事では自閉症の赤ちゃんについて、年齢ごとに見られる特徴を解説します。 自閉症の診断方法や接し方などを紹介するので、赤ちゃんとの接し方に役立ててください。 赤ちゃんの成長は周りの環境が大きく影響するものです。 自閉症の赤ちゃんを理解して正しい接し方を知りましょう。 <この記事で分かること> ・自閉症の赤ちゃんの特徴とは? ・年齢ごとに見られる自閉症の特徴とは? ・自閉症には何か原因がある? ・自閉症の診断方法とは? ・自閉症の治療方法はどんなものがある?

自閉症の赤ちゃんの特徴とは?

自閉症 赤ちゃん 特徴
自閉症と呼ばれる症状には主に社会的なコミュニケーションの障害、反復的な行動様式といった特徴が見られます。 国立精神・神経医療研究センターの定義によると、自閉症(自閉スペクトラム症=ASD)とは言葉以外の方法で相手の考えていることを読み取ること、自分の考えを伝えることが苦手であるという特徴があります。
自閉スペクトラム症(ASD)とは 言葉や、言葉以外の方法、例えば、表情、視線、身振りなどから相手の考えていることを読み取ったり、自分の考えを伝えたりすることが不得手である、特定のことに強い興味や関心を持っていたり、こだわり行動があるといったことによって特徴付けられます。自閉スペクトラム症は、人生早期から認められる脳の働き方の違いによって起こるもので、親の子育てが原因となるわけではありません。 出典:自閉スペクトラム症(ASD)|国立精神・神経医療研究センター

脳の発達に関する特徴

人間の脳は20歳ごろまでに外部からの刺激を受けて完成すると言われています。 赤ちゃんの脳は、反射的な行動をもとに3歳ごろまでに脳の発達がほぼ完了するものです。 視覚や聴覚を通じて、感覚が発達して脳が成長します。 しかし、脳の機能に障害があると3歳までに脳が上手く発達しないことがあります。 脳の発達に関する障害が自閉症の大きな原因とされています。

運動の発達に関する特徴

赤ちゃんの身体は外部からの刺激だけでなく、自身が運動をすることによって発達します。 運動とともに筋肉などの部位が発達し、成長していくものです。 しかし、自閉症の場合は運動機能が上手く発達しないことがあります。 運動をしても筋肉が発達せず、自閉症と運動機能は深く結びついているものです。

心の発達に関する特徴

赤ちゃんの身体は脳や運動機能だけでなく、心の成長にも関係します。 心の成長は周囲への興味から刺激を受けることに始まります。 しかし、周囲に関心を示せないと、外部から刺激を受ける機会が少なくなってしまうのです。 自閉症では心の発達に関する障害で回りと上手くコミュニケーションを取れないことがあります。

年齢ごとに見る自閉症の赤ちゃんの特徴

自閉症 赤ちゃん 特徴
自閉症の赤ちゃんには行動や言葉などにいくつか特徴がみられます。 ただし、全ての赤ちゃんが同じ症状ではなく、特徴は赤ちゃんによって異なるものです。
自閉症の特徴:目と目が合わない、にっこりと笑いかけてもほほえみ返さない、指さしが少ない、模倣が少ない、言葉の発達が遅い、語彙が広がらない、こだわりが強い、感覚の過敏さがある、同世代の集団の中に入っていけない。 自閉スペクトラム症という同一の診断であっても、話し言葉がない場合から、むしろとても流ちょうに話すけれども会話を双方向的に展開するのが苦手だという場合まで含まれます。目と目が合わない、目を合わせると背けてしまうという人もいれば、日常での社会的やりとりには困難がないけれども相手の考えていることを表情や言葉のニュアンスから読み取ることができない人もいます。(中略)つまり、自閉スペクトラム症に共通する特性はあっても、その特性の程度や困難の現れ方は、人それぞれ異なります。 出典:自閉スペクトラム症(ASD)|国立精神・神経医療研究センター
自閉症の赤ちゃんは成長度合いに応じて症状が異なります。 多くの場合、生まれたころから3歳までに診断が可能です。 0歳から6歳までの自閉症の特徴として、以下のようなものが挙げられます。
年齢 特徴
0歳の自閉症 特徴は強く出ないが、感情表現が苦手な場合がある
1歳~3歳の自閉症 徐々に自閉症の特徴が出てくる。 言葉を覚えるのが遅い、人と視線を合わせないなど
3歳~6歳の自閉症 周囲の人と上手くコミュニケーションが取れない、集団遊びが苦手など

0歳~1歳の自閉症

0歳~1歳の赤ちゃんは成長の個人差が大きく、自閉症であることは判断できません。 実際にこのような症状があっても自閉症であると気付けるケースは少ないです。 主な特徴として、以下の症状が認められることがあります。 言葉を発する時期ではないので、視線や食事などに特徴が出るものです。
  • 抱っこをいやがる
  • 泣かない
  • 笑わない
  • ミルクを飲まない
  • 寝つきが悪い
  • すぐ目を覚ます

1歳~3歳の自閉症

1歳~3歳になると、徐々に自閉症の特徴が認められるようになります。 以下のように、言葉が遅かったり他人と上手くコミュニケーションを取れないことが特徴です。
  • 発語や言葉が遅い
  • 名前を呼んでも反応しない
  • 人と視線を合わせない
  • ひとり遊びが好き
  • 触られることを嫌がる

3歳~6歳の自閉症

3歳~6歳は周囲の環境と関係を持つようになる時期です。 周りの人たちとコミュニケーションを取れなかったり、1人遊びが好きで集団行動が苦手という特徴があります。
  • 特定の行動や物が置かれている位置にこだわる
  • 集団行動が苦手
  • 友達とうまく遊べない
  • 同じ遊びを繰り返す

赤ちゃんが自閉症になる原因

自閉症 赤ちゃん 特徴
赤ちゃんが自閉症になる原因は医学的に解明できておらず、明確な原因は特定できません。 一般的には、自閉症は脳の障害であるとされており、親のしつけや育った環境には影響ないとされています。

原因は特定されていない

厚生労働省の見解によると、自閉症は脳の障害であるとされています。 生まれつき、先天的な脳の機能に障害があることが原因であり、親のしつけ方や育て方とは特に関係ありません。 脳の機能によるものであるため、完全に治療することは難しいです。 しかし、周囲の環境や対人関係によって症状の改善を期待できます。 赤ちゃんに自閉症の症状が認められる場合は、専門家のアドバイスを仰ぎ、適切な療育をしましょう。
自閉スペクトラム症は多くの遺伝的な要因が複雑に関与して起こる生まれつきの脳機能障害で、人口の1%に及んでいるとも言われています。 自閉スペクトラム症の人々の状態像は非常に多様であり、信頼できる専門家のアドバイスをもとに状態を正しく理解し、個々のニーズに合った適切な療育・教育的支援につなげていく必要があります。 引用:ASD(自閉スペクトラム症)|厚生労働省

早期療育が可能

自閉症は早期療育が可能です。 自閉症の特徴は主に生後2年目の1歳(12ヵ月~24ヵ月)に表れるとされており、早ければ1歳半の時期に発見ができます。 また、精神疾患が認められる場合は抗精神病薬など病状に応じた薬物療法が使用されることがあります。 詳細な治療方法については医療機関など専門機関へ受診し、適切な治療方法の指導を仰ぎましょう。

自閉症の診断方法

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自閉症の症状は幼少時から認められるもので、3歳までに診断が可能です。 自閉症の主な診断方法として、以下の方法があります。 普段の様子から行動の特性を観察しておきましょう。
  • 問診
  • 行動観察
  • 心理検査・知能検査

医師による問診

医師による問診では保護者が医師から子供の普段からの様子を聞かれます。 母子手帳や保育園・幼稚園、学校での連絡帳などを確認して説明する流れです。 問診では子供の周囲にいる両親や先生などの大人が医師へ説明を実施します。

行動観察

自閉症の子供を治療するには、子供の行動を観察することが必要です。 医師が実際に子供が遊んでいる様子を観察し、自閉症の特徴が表れているかどうかをチェックします。 行動観察ではチェックリストを用いて、自閉症の特徴とみられる症状が出ているかどうかを観察します。

心理検査・知能検査

自閉症の子供には心理検査・知能検査を実施して診断することもあります。 子供の心理や知能の状態を確認して、自閉症の症状があるかどうかを確認します。

自閉症に関するチェックリスト

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「赤ちゃんが自閉症なのか?」と疑問を持たれたら、以下のチェックリストを使用してください。 これらのチェックリストに当てはまる場合、自閉症と診断される可能性があります。 自閉症の問題は家庭で抱え込まず、医療機関や専門機関へ相談しましょう。
  • 他人に関心を持たない
  • 言葉が遅れている
  • 同じものにこだわる
  • 感覚に無関心
  • 感覚に過敏

他人に関心を持たない

自閉症の赤ちゃんは他人や周囲のものに関心を持たない傾向にあります。 社会性や対人関係に障害があり、自分の興味や感情を共有することが苦手です。 逆に、一方的なコミュニケーションを取ってしまい、相手のことを上手く理解できないという場合もあります。

同じものにこだわる

自閉症の赤ちゃんは同じものにこだわる傾向があります。 限定的で反復的な行動が好きで、毎日同じルーティーンを取る行動を好みます。 また、一人遊びが好きで、ごっこ遊びが難しいのも自閉症の特徴となっています。 同じおもちゃで何度も遊ぶことが好きで、周囲と協力することが難しいです。

自閉症の赤ちゃんへの接し方

自閉症 赤ちゃん 特徴
自閉症の赤ちゃんと接するには、赤ちゃんが過ごしやすいような環境を準備してあげることが重要です。 赤ちゃんは小さなことにも敏感で、周りが騒がしかったり落ち着けない環境はストレスを抱えてしまいます。 周りの大人が赤ちゃんに対して過ごしやすいようにしてあげましょう。
  • 具体的で分かりやすい言葉を使う
  • 落ち着ける環境を作る
  • 興味の幅を広げてもらう

具体的で分かりやすい言葉を使う

自閉症の赤ちゃんと接する際は、具体的で分かりやすい言葉を使いましょう。 曖昧な言葉だったり、分かりにくい表現は赤ちゃんの判断を迷わせてしまいます。 例えば、「そこに置いて」といったように曖昧な表現ではなく、「机の上に置いて」など、わかりやすい表現を使うようにしましょう。

落ち着ける環境を作る

自閉症の赤ちゃんには落ち着ける環境を作りましょう。 周りが騒がしかったり、ものがいっぱい置いてあるところでは落ち着けない環境で、赤ちゃんは上手く生活することができません。 赤ちゃんのために物が少ないスペースを用意したり、なるべく音を騒がしくしないような環境作りを心掛けてください。

興味の幅を広げてもらう

自閉症の赤ちゃんは自分の世界へ集中する傾向があるので、周りのことにはあまり関心を示しません。 また、1つのことに集中する傾向があるので、他の遊びに興味を持ってもらうことも有効です。 例えば、いつも同じおもちゃで遊んでいる場合は、他のおもちゃを置いてみることで興味を持ってもらえるようになるかもしれません。 色々なことに興味を持つことで、赤ちゃんが周囲の環境へ関心を示すきっかけになるでしょう。

自閉症の赤ちゃんを理解しよう

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自閉症の赤ちゃんは言葉や行動、人との関わり方に特徴があります。 自閉症の原因は特定されていませんが、脳の発達によることが主な原因とされており、両親の育て方が原因であるとは限りません。 自閉症の支援は医療機関だけではなく、地域における子育て支援機関や療育機関といった公的機関でも実施しています。 専門家の指導を仰ぐことで、赤ちゃんの負担を和らげられるでしょう。 自閉症の赤ちゃんのことを少しでも理解して、赤ちゃんが過ごしやすい環境を用意してあげましょう。
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