チャイルドシートは、乳児期は後ろ向きや横向き、幼児期や学童期は前向きに設置して使用します。チャイルドシートは体格や年齢に合わせた正しい向きで使用することで、車の事故の衝撃から我が子を守るものです。とはいえ、前向きに切り替えるタイミングに悩むママやパパも少なくないでしょう。そこで今回は、チャイルドシートをいつから前向きに使用するかとその判断基準をご紹介します。
チャイルドシートの前向き使用はいつから?
チャイルドシートを後ろ向きや横向きの使用から、前向きに切り替えるタイミングには悩みますよね。ここでは、国で定められた安全基準を元に前向きへの切り替えの目安時期をご紹介します。
- 生後15ヶ月頃が目安
- 新安全基準R129で前向きに切り替える時期が変更
生後15ヶ月頃が目安
チャイルドシートの向きを後ろや横から、前向きへの切り替えができる目安は、生後15カ月頃です。
交通事故統計によると、「12歳以下の子どもが死傷した車両相互事故の死亡重傷率(2013~2022年)は正面衝突が多い」というデータがあります。
また、チャイルドシートは安全の為に後部座席の設置が推奨されていますが、後部座席に設置してもドア側から追突の衝撃を受ければ、お子さんは大怪我をしてしまう可能性があるのです。
骨格の発達が未熟な赤ちゃんは、事故の衝撃を背中全体や背もたれで受ける方が、怪我を軽くできる可能性があります。できるだけ長い期間、後ろ向きや横向きでチャイルドシートを使用することが赤ちゃんをもしもの事故から守ってくれるのです。
製品によっては、体重が9kgを超える1歳頃から前向きで乗れるチャイルドシートもあります。また、赤ちゃんが後ろ向きでチャイルドシートに乗るのを嫌がることもあるでしょう。しかしながら、最新の安全基準では乳幼児を車の事故の衝撃から守るためには生後15ヶ月を過ぎてから前向きへの切り替えを推奨しているのです。
新安全基準R129で前向きに切り替える時期が変更
国土交通省の安全基準に適合したチャイルドシートには、Eマークがついています。Eマークには、従来の安全基準であるR44と従来の安全基準よりさらに安全を追求した新安全基準R129があります。
R44では後ろ向きでチャイルドシートに乗る期間を生後12ヶ月頃までとしていました。R129では、後ろ向きで乗る期間を生後15ヶ月まで延長されました。骨格の発達が未熟な赤ちゃんは、できるだけ後ろ向きで使用した方が安全ということです。
さらに、安全基準の型式認定を受けていないものに対して、国土交通省が注意喚起を行っていますので、
確認しておくことをおすすめします。
参考:国土交通省「お子様の安全を脅かす未認証チャイルドシートにご注意!」
また、R129の安全基準に適合したチャイルドシートでも、製品によっては後ろ向きで使用できる期間が15ヶ月よりも長いタイプがあります。取扱説明書を読み、いつまで後ろ向きで使用できるかを確認してみてくださいね。
チャイルドシートを前向き使用にする判断基準
チャイルドシートの向きを後ろや横から、前向きに使用する目安の時期をお伝えしました。とはいえ、同じ月齢でも赤ちゃんの体格はさまざまです。そこで、前向きに使用する判断基準をご紹介します。
- 対象年齢に達することが目安
- 新安全基準は身長が規定に達したら
- 従来の安全基準は体重が規定に達したら
- 商品によって異なる!説明書も確認
対象の年齢に達することが目安
チャイルドシートの取扱説明書を確認し、前向き使用ができる年齢に達したら後ろ向きや横向きから変更するのが1つの目安です。ただし、同じ月齢でも身長や体重は赤ちゃんごとに違います。年齢以外にも身長や体重が前向き使用ができる規定に達しているかも切り替えの条件になるので、確認しましょう。
新安全基準は身長が規定に達したら
新安全基準であるR129では、チャイルドシートを前向きに切り替えてよい時期を生後15ヶ月以上かつ身長76cm以上としています。
月齢や体重が同じでも身長は違う場合があります。規定の身長に達していないと、赤ちゃんが事故の衝撃を受けた時にチャイルドシートのハーネスからすり抜けてしまう可能性があるのです。年齢のみならず身長を計測して前向きに切り替える判断をしましょう。
従来の安全基準は体重が規定に達したら
従来の安全基準であるR44では、体重が9kgを超える生後12ヶ月頃を目安に前向き使用へ切り替えてチャイルドシートに乗ることができます。
ただし、同じ9kgでも赤ちゃんによって身長はさまざまです。9kgに達するのが1歳より早い赤ちゃんもいるでしょう。ただし、1歳に満たない赤ちゃんの骨格の発達は未熟です。事故の衝撃から守るためにはできるだけ長い期間後ろ向きでの使用が推奨されています。
商品によって異なる!説明書も確認
チャイルドシートは、乳幼児を事故の衝撃から守るために国で定められた安全基準があります。どのチャイルドシートも安全基準を満たしているのに変わりはありませんが、製品ごとに後ろ向きや横向きから、前向きに切り替える時期が違う場合があります。前向き使用への切り替えを安全マークのみで判断するのではなく、取扱説明書も読みましょう。
製品ごとに確認!チャイルドシートの前向きはいつから?
チャイルドシートを前向きで使用できる年齢は、安全基準を守ることはもちろんですが、製品ごとに異なる場合があります。ここでは、チャイルドシートごとに後ろ向きや横向き使用が可能な期間と前向きに切り替える時期の目安をご紹介します。
- チャイルドシート アーク360° ジョイー(joie) チャイルドシート
- ラクールISOFIX ナチュラル リーマン(LEAMAN) チャイルドシート
- THE S ISOFIX エッグショック ZD コンビ(Combi) チャイルドシート
- ディアターン プラス ISOFIX AB アップリカ(aprica) チャイルドシート
- マムズキャリー ターン・レジェFIX 西松屋(NISHIMATSUYA)
チャイルドシート アーク360° ジョイー(joie) チャイルドシート
KATOJIのチャイルドシート アーク360° ジョイーは、R44の安全基準に適合しています。
後ろ向きで使用できる期間は、新生児〜18kg(4歳頃)までです。前向きで使用できる期間は、9kg(1歳頃)〜18kg(4歳頃)となっています。
9kg(1歳頃)を超えたら前向きで使用できますが、18kg(4歳頃)まで後ろ向きでの使用が可能です。お子さんの体格やご機嫌にもよりますが、長い期間後ろ向きで使用を検討しているママやパパにとって嬉しいチャイルドシートといえそうです。
ラクールISOFIX ナチュラル リーマン(LEAMAN) チャイルドシート
i-saizeR129の安全基準に適合しているリーマンのラクールISOFIXナチュラル。取扱説明書によると、後ろ向きでの使用は身長40cm〜83cm、生後15ヶ月未満は後ろ向きで使用する必要があります。
前向きでの使用は身長76cm〜105cm、体重18kg以下、76cmを超えても生後15ヶ月を超えるまでは後ろ向きでの使用が求められています。
厚生労働省の発育曲線を参考にすると、後ろ向き使用が可能な身長のボーダーラインである83cmは、2歳頃になると超えるお子さんが増えてきます。お子さんの状況やご機嫌にもよりますが、後ろ向きでの使用は2歳位までとなり、それ以降は前向きで使用することになるでしょう。
THE S ISOFIX エッグショック ZD コンビ(Combi) チャイルドシート
コンビ THE S ISOFIXエッグショック ZDは、後ろ向きで長く使えるのが特徴で、R129の安全基準に適合しています。後ろ向きで使用できる身長は、身長40cm~105cmまでです。生後15ヶ月を過ぎて身長76cmを超えれば、前向き使用と後ろ向きで使用が選べます。お子さんの体格や前向きで乗りたがるかどうかに合わせてチャイルドシートの向きを選べるのは、我が子の安全を考えるママとパパにとって魅力的なポイントですね。
ディアターン プラス ISOFIX AB アップリカ(aprica) チャイルドシート
UN-R44/04の安全基準に適合しており、平らなベットのような状態で使用できて小さな赤ちゃんの呼吸が楽なのが魅力的なアップリカのディアターンプラス ISOFIX AB。
横向きベッドは、新生児〜1歳頃まで使用可能です。後ろ向きでの使用は、首すわりから13kg未満の乳幼児が使用できます。前向きシートは9kg〜18kgまで使用できます。お子さんの体格やご機嫌にもよりますが、1歳半頃まで後ろ向きで使用できるのは我が子の安全を守るために嬉しいポイントです。
マムズキャリー ターン・レジェFIX 西松屋(NISHIMATSUYA)
ECE-R44/04の安全基準である西松屋のマムズキャリー ターン・レジェFIX。ベビーシートとして後ろ向きでの使用は、体重2.5kg〜13kg未満、新生児から1歳頃、60cm〜80cmが目安です。チャイルドシートとして前向きで使用するのは、9kg以上〜18kg未満、1歳頃〜4歳頃、75cm〜100cm以下が使用の目安となっています。後ろ向きで使用できる期間は、体重13kg、身長80cmまでなので、赤ちゃんの体格や様子に合わせて、前向きに切り替えましょう。
後ろ向きが不便なら前向きにしてもよい?
チャイルドシートを後ろ向きにして乗せているときに赤ちゃんグズってしまい、対応に困る場合も少なくないでしょう。とはいえ、対象時期よりも早く前向きに乗せるのは危険なのでやめてくださいね。そこで、後ろ向きが不便に感じるシーンとグズった時にご機嫌になる対策をご紹介します。
- 後ろ向きが不便に感じるシーン
- 後ろ向きでも赤ちゃんがご機嫌になる対策
- 早めの前向きは危険がいっぱい!
後ろ向きが不便に感じるシーン
後部座席にチャイルドシートを後ろ向きに設置していると、運転中に赤ちゃんの顔が見えにくく、赤ちゃんの状態が気になることがありますよね。また、赤ちゃんがグズった時にも表情が見えないので、何で泣いているのか分かりにくいことも。赤ちゃんを事故から守るために後ろ向きに乗せているとはいえ、運転中に赤ちゃんの様子が気になってしまう場合にママやパパは不便に感じるでしょう。
後ろ向きでも赤ちゃんがご機嫌になる対策
運転中に赤ちゃんがグズって泣いてしまうと、対応に困りますよね。赤ちゃんがグズってしまった時に遊べるよう、安全なおもちゃをチャイルドシートにつけてあげるのも一つの手。また、お腹が満たされた状態やお昼寝の時間に合わせて乗せて、車に乗っている間は寝ていられるようにするのもよいでしょう。どうしても泣き止まない場合は、赤ちゃんのお気に入りの曲を流して気持ちを落ち着かせてあげるのもおすすめですよ。
早めの前向きは危険がいっぱい!
チャイルドシートに乗るのを嫌がる赤ちゃんもいれば、嫌がらずにスヤスヤ寝てくれる赤ちゃんがいるものです。チャイルドシートが嫌いな赤ちゃんのママやパパは、毎回泣いてしまう赤ちゃんの対応に困り、早めに前向きにしたいと思うこともあるかもしれません。
1歳を超えればある程度骨格が発達してきますが、前向きに使用する時期を早めてしまうと事故の衝撃で大怪我をしてしまう可能性があります。我が子がチャイルドシートを嫌がって泣いても、定められた期間までは後ろ向きで乗せましょう。
チャイルドシートの種類を確認!前向きに乗せるのはどれ?
チャイルドシートは、乳児用、幼児用、学童用の3種類に分けられます。それぞれの特徴と、いつから前向きに乗せることができるかをご紹介します。
- 乳児用のベビーシート
- 乳幼児兼用のベビーシート&チャイルドシート
- 幼児学童兼用のチャイルドシート&ジュニアシート
- 学童用のジュニアシート
乳児用のベビーシート
体重10kg未満、身長70cm以下 、新生児〜1歳くらいの乳児が使用するタイプがベビーシートと呼ばれます。持ち運びに便利だったり、ママの抱っこのように赤ちゃんを包み込むような乗り心地が特徴です。安全基準や製品ごとに多少前向きに切り替える時期が異なりますが、生後12ヶ月〜15ヶ月頃まで後ろ向きで使用します。
乳幼児兼用!ベビーシート&チャイルドシート
新生児〜3歳、4歳頃までの乳幼児が使用するベビーシート&チャイルドシート。ベビーシートとして使用する際は、後ろ向きで使用します。チャイルドシートとして使用する場合に前向きへ切り替えて使用します。製品によっては15ヶ月を過ぎても後ろ向きのまま使えるタイプがあります。
幼児用のチャイルドシート
体重9〜18kg、身長65〜100cm以下、 1歳〜4歳くらいのお子さんが乗るものをチャイルドシートと呼びます。1歳を過ぎた頃から乗るので、前向き専用のチャイルドシートになっている場合があります。新安全基準R129に適合しているチャイルドシートは、前向き使用は15ヶ月を過ぎていることと、76cm以上が条件となっています。1歳頃に使用したい場合は、取扱説明書を読んで乗れるかどうか確かめる必要があるでしょう。
学童用のジュニアシート
体重15〜36kg 、身長135cm以下、 4歳〜10歳くらいまでが使用できるのが学童用のジュニアシートです。成長したお子さんが大人用のシートベルトの高さに合うまでの間乗るタイプなので、前向き専用のチャイルドシートである場合がほとんどでしょう。
チャイルドシートを使用する時の注意点
チャイルドシートは使用ルールを守ることで、もしもの事故からお子さんを守ってくれます。チャイルドシートを安全に使用するための注意点をご紹介します。
- ISOFIX対応チャイルドシートの注意点
- シートベルト固定チャイルドシートの注意点
- 夏はチャイルドシートによる火傷に注意
- 冬は衣類の着すぎに注意
ISOFIX対応チャイルドシートの注意点
ISOFIX(アイソフィックス)対応とは、車の座席についている取付金具にチャイルドシートのコネクターを差し込んで設置できるチャイルドシートのことです。
取り付け方がシンプルで、装着時のミスが少ないため安全に乗れるのが特徴です。2012年7月以降に発売された全車両の座席には取付金具がついています。乗る予定の車が対応しているか確認しましょう。ISOFIXに対応していない車種は、ISOFIX専用のチャイルドシートは設置できないので注意してくださいね。
シートベルト固定チャイルドシートの注意点
シートベルトで固定するチャイルドシートは、取り付け方法が難しかったり、力が必要だったりする場合があります。このことが装着ミスに繋がりやすく、チャイルドシート本来の機能が発揮できない可能性がある点に注意が必要です。取扱説明書を確認しながら正しく装着しましょう。
夏はチャイルドシートによる火傷に注意
炎天下の車の中は、40度を超えて50度近くになることもあります。車内に設置しているチャイルドシートも熱くなります。前向きでチャイルドシートに乗れる位の年齢のお子さんは、自分でよじ登って座れるかもしれませんが、お子さんが座る前にチャイルドシートの温度を確認してあげましょう。
冬は衣類の着すぎに注意
寒い冬はダウンコートを着せたままチャイルドシートに乗せることもあると思いますが、事故が起きた時は危険です。なぜなら車の事故が起きた時、ダウンコートは衝撃で圧縮されてすき間ができ、ハーネスから乳幼児が飛び出してしまう可能性があるからです。
冬に車に乗る時は車内を暖房で温め、お子さんのコートを脱がせて座らせてあげると安心です。
購入に迷ったらレンタルも検討しよう
チャイルドシートを前向きで使用する時期は、安全基準に適合したうえで、製品ごとに異なります。また、後ろ向きから前向きに切り替える時期は、お子さんの体格やご機嫌によっても左右されます。
とはいえ、ママとパパは、後ろ向きで乗る期間が長いチャイルドシートを購入して我が子を車の事故の衝撃から守ってあげたい気持ちもありますよね。
チャイルドシートは安いものではありません。購入前に後ろ向きから前向きに切り替えるタイミングに迷ったら、レンタルを検討してみるのもおすすめですよ。
安全基準、年齢、体格に合わせて前向きに切り替えよう
チャイルドシートを前向きに切り替える時期は、国で定められた安全基準に適合しているうえで製品ごとに異なります。安全基準でみれば、生後12ヶ月〜15ヶ月頃に前向きに切り替えることができます。とはいえ、1歳頃を過ぎて骨格が発達してきた赤ちゃんでも大人と比べると未熟です。背中や背もたれで事故の衝撃を受ける方が怪我の程度が軽くすむ場合があります。
取扱説明書を読み、お子さんの体格やご機嫌に合わせてチャイルドシートを前向きに切り替える時期を判断しましょう。